とある会合で、能登半島地震で被災した会計事務所は、年末調整が最近終わったという話を伺いました。
被災時の事務所の様子などから、平時に対策を考えておく必要があると思いました。
そのため、災害に備えるための「事業継続力強化計画」をとりあげます。
「事業継続力強化計画」とは、中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業大臣が認定する制度です。
認定を受けた中小企業は、税制措置や金融支援、補助金の加点などの支援策が受けられます。
事業継続力強化計画には、自社のみで取組む「単独型計画」と他社と一緒に取組む「連携型計画」の2種類があります。
事業継続力強化計画の認定を受けた企業のメリット
認定ロゴマークの活用
HPや名刺等にロゴをいれて顧客や取引先へ防災対策をPR!(知名度はまだまだです。)
日本政策金融公庫による低利融資
設備資金について、基準利率から0.9%引下げ
防災・減災設備の税制優遇
自家発電設備や排水ポンプ、貯水ポンプ等、自然災害が事業に与える影響を軽減させる設備が
特別償却18%税制措置を受けられる
※令和7年4月1日以後に取得等をする対象設備は特別償却16%
補助金の加点措置
ものづくり補助金、IT導入補助金、事業承継・引継ぎ補助金など
損害保険料の割引
損害保険料の割引となります。(そのまま!)
中小企業庁HPでの認定企業公表
地域ごとにファイルを分け、都道府県別に事業者名を公表
5つの検討ステップで簡単作成!
- 事業継続力強化の目的を明確化
計画を策定する際には、まず目的をはっきりさせることが重要です。
- 災害などのリスクの確認・認識
ハザードマップなどを活用しながら、自社の事業所や工場がある地域の災害リスクについて確認しましょう。
- 初動対応の検討
災害等が発生した直後の初動対応を検討します。
- ヒト、モノ、カネ、情報への対応
STEP2で検討した、ヒト、モノ、カネ、情報への影響を踏まえ、事前にどのような対策をとれば良いか考えます。
復旧期間と復旧費用を見積り、手元資金・損害保険・借入などで間に合うかなどを検討します。
- 平時の推進体制構築
事業継続力を強化するには、訓練など、平時の取り組みが大切です。
認定事業者が活用できる支援策活用事例
『中小企業防災・減災投資促進税制(特定事業継続力強化設備等の特別償却)を活用できます!』
事例1:製造業
令和元年の台風により同社工場の近隣を流れる川が氾濫、設備の浸水被害を受け防災対策である税制を活用し、設備投資に取り組む
(結果)
・資金的に余裕があるうちに前倒しで償却を進められた
・税制優遇を活用し設置した防水板、排水ポンプ等が功を奏し、令和4年度の台風では浸水被害を未然に防げた
『保険会社によっては、一部商品において保険料の割引適用が受けられます!』
事例2:運輸業
東日本大震災を契機に従業員が安心して業務に取組める組織づくりとして計画策定
(結果)
・有事の際に備え、2ヶ月に1回従業員向けの安全講習会を実施することで従業員の採用にもつながった
・加入していた業務災害補償保険に割引適用ができ、その原資をもとに天災危険保障を新たに付帯
まとめ
災害リスクの認識や災害発生時のヒトモノカネについての計画である「事業継続力強化計画」は、防災設備の優遇税制・補助金の加点・損害保険料の割引などのメリットがあります。
認定申請は不要という場合でも、計画をたてる事でしか得られない発見があると思います。
特に復旧期間と復旧費用と損害保険のカバー範囲は、要確認です。※私は損害保険の範囲に課題がありました。(結構適当に入っていました。。)
まずは簡単なチェックリストを使い対策できているか否かを把握すると良いと思います。
ご連絡頂ければチェックリストをお送りします。
ご不明点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
今年はエルニーニョが弱まり、ラニャーニャという事で「猛暑」だそうです。
既に運動会等で熱中症という記事もあります。十分に熱中症には気をつけましょう!