今回は、一番大切な数字である「資金」について、
ひとまず作成できるレベルになって頂こうと思います。
数字で話せる社長の財務への意識は非常に高いです。
逆を返せば、数字への意識が数字で語る事ができるようになられたと言えます。
なぜ資金繰り表を作るかと言うと以下のためです。
- 黒字倒産の防止
- 融資対策
- 経営者保証解除への布石
黒字倒産の防止は、業績拡大時は必要運転資金が増加したり、設備投資等の借入が増加しますので、資金繰りが悪化するケースが多いため、黒字なのに倒産するケースがあります。その抑制のためです。
融資対策は、金融機関にどのように返済されるのかご説明頂きたいためです。
経営者保証解除への布石は、公私混同抑制と言えます。公私の「公」は会社の本業です。
公私の「私」はそれ以外です。不要な車などです。きっちりと私と会社を分ける事で経営者保証解除へのステップを作ります。
今回ご用意いただきたいサンプルは以下にございます。まずはダウンロードをお願い致します。
【資金繰り表ひな形 日本政策金融公庫】 | 資金繰り表(簡易版) |
【記載例 日本政策金融公庫】 | 資金繰り表記入例 |
資金繰り表の作成方法
今回作成して頂く資金繰り表は最も簡易的ではありますが、資金繰りをご理解頂く上では十分ではないかと思います。
売掛金、買掛金、受取手形、支払手形を管理されていない前提で進めます。
大切な事は、完璧は無理なので、ほどほどの精度を目指します。
完成予想図は下記です。(記入例です)
資金繰り表記入例 https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html
- 当年度実績値と前年売上高を埋める
資金繰り表記入例 https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html
前年度の試算表と当期の試算表を見て写します。
- 借入金返済予定表を見ながら、借入金返済を埋めます
借入が複数ある場合には、エクセルに複数記載して合計した数値を入れます。
- 前月繰越金を銀行通帳を見て埋めます
銀行に拘束されている定期預金などを除き、いつでも使える預金の合計額を前月繰越金の実績値に記載します。
- 開始月は実績値を集計します。
預金を通帳を見ながら項目分け(売掛金入金、買掛金出金、給与、外注費等々)し、集計します。売掛金や受取手形、買掛金や支払手形については、何月分の回収・支払なのかを記載しましょう。
- ④をもとに実績値に入力します。
これで実績値は入力できました。
- 前年の月次推移試算表を準備します。
この段階では準備だけです。
- 6ヶ月の売上高を予想し、各月に記載します。
この売上高は、入金を意味しません。請求書を発行した段階とお考え下さい。
- 仕入高÷売上高で、仕入の割合を算出します。
前年の試算表を見て算出して下さい。
- ⑦x⑧の割合で各月の仕入高を算出します。
この仕入高は、請求書ベースのため、実際の支払ではありません。
- 売上高について、現金売上、掛売上(回収月別)、受取手形(回収月別)に大体分けます。
例えば、現金売上:掛売上が2:8、掛売上は翌月入金など整理できれば構いません。
- ⑩をベースに⑦の各月の売上高について、入金月を把握します。
11月分の売上は100、現金:掛(当月締め翌月末入金)2:8だから、11月20、12月80
と言ったように、6ヶ月分算出し、各月分を合計します。
- ⑪で算出した金額を入力します。
- ⑩と同じように、仕入についても、現金仕入れ、掛仕入、手形仕入に分けます。
例えば、現金仕入:掛仕入が3:7、掛仕入は翌月末日出金など整理できれば構いません。
- ⑬をベースに、⑨の各月の仕入高について、出金月を把握します。
11月分の仕入は100、現金:掛(当月締め翌月末出金)3:7だから、11月30、12月70
と言ったように、6ヶ月分算出し、各月分を合計します。
- ⑭で算出した金額を入力します。
- 金額的に重要な外注費や給与などの項目を各月に入力します。
重要な項目について金額的に変動が大きい場合には、年間の売上に対する比率を乗じて算出します。
- その他細々とした項目について、試算表の売上に対する比率を合計します。
【注意!】減価償却費は除きます。
- ⑯の比率を各月の売上高に乗じて、各月の諸経費を算出し入力します。
- 経常外収支の予定があれば入力します
- 完成
⑩⑪⑬⑭が難所であるとは思いますが、売上と仕入の入出金タイミングを各月に振り分けるだけなので、大丈夫だろうと思います。
まとめ
月中の現預金が一番下がる日が危険なので、必要に応じて、月ごとの集計から日・週に変更して下さい。
また、一番少ない預金残高の段階で平均月商の1.5ヶ月の資金をまずは目指してください。
なお、現時点で6ヶ月の預金残高がマイナスか非常に少ない場合には緊急事態です。
早急に新規融資・リスケなどの準備が必要です。