小規模事業者持続化補助金は、第19回公募の申請受付が2026年4月30日に終了しました。本記事では、令和7年度補正予算における持続化補助金の予算枠組み、第19回までの公募実績、そして第20回以降の公募がどのように動くかについて、中小企業庁・事務局の公表情報に基づき整理します。記事末尾では一定の前提を置いた次回公募の見通しも示しますが、あくまで「公開情報からの推測」であり、確定情報ではありません。
本記事の前提:本記事は一般的な中小企業・小規模事業者を対象とした概要です。組合・公益法人・NPO法人など、特殊な要件が課される事業者については個別に公募要領をご確認ください。本記事は2026年5月12日時点の公開情報に基づきます。
1. 持続化補助金の現行体系(2026年5月時点)
令和6年度補正予算以降の持続化補助金は、用途別に複数のタイプに整理されています。代表的なものは次の3類型です。
| タイプ | 対象 | 補助上限額の目安 |
|---|---|---|
| 一般型(通常枠) | 販路開拓・生産性向上に取り組む小規模事業者 | 50万円。インボイス特例+50万円・賃金引上げ特例+150万円の重複適用で最大250万円 |
| 創業型 | 過去1か年の間に商工会・商工会議所の指導を受けて開業した小規模事業者 | 200万円。インボイス特例適用で最大250万円 |
| 共同・協業型 | 商工会・商工会議所地区の事業者グループ等による共同事業 | 最大5,000万円 |
このほか、ビジネスコミュニティ型なども併設で運用されています。補助率は一般型で原則2/3、赤字事業者は3/4とされています。補助上限額・補助率・特例の適用条件は公募回ごとに見直されるため、申請時は必ず最新の公募要領をご確認ください。
2. 令和7年度補正予算における予算枠組み
持続化補助金は、経済産業省・中小企業庁の「中小企業生産性革命推進事業」の枠組みの中で予算配分されています。同事業の令和7年度補正予算は3,400億円規模で、複数の補助金が予算を共有する構造です(出所:中小企業庁「令和7年度補正予算の事業概要 PR資料」P3)。同事業に含まれている支援事業は次の5つです。
- 中小企業成長加速化補助金(売上高100億円を目指す高成長型の中堅企業向け、革新的な設備投資を支援)
- デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金、業務効率化・サイバーセキュリティ・インボイス対応IT等)
- 小規模事業者持続化補助金(経営計画に基づく販路開拓等を支援)
- 事業承継・引継ぎ補助金(設備投資・M&A前後の専門家活用費用を支援)
- 機動的なソフト支援パッケージ(賃上げ・消費税等の影響を受ける事業者へのハンズオン支援)
なお、ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は別予算枠で運用されています。同じく令和7年度補正予算では、別枠で大規模成長投資補助金(4,121億円)が措置されており、こちらは中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模投資(補助上限額50億円)が対象です。
持続化補助金単独の予算配分額については、3,400億円が5つの支援事業で按分される構造のため、中小企業庁から個別金額の明示的な公表はありません。本記事では断定的な数字は示さず、公募実施回数で予算消化を見ていく形を取ります。
3. 第19回(一般型通常枠)公募までの実績
第19回の公募スケジュールは次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 公募要領 公開(第6版時点) | 2026年3月6日 |
| 申請受付 | 2026年4月30日まで |
| 採択発表予定 | 例年締切の2〜3か月後(2026年夏頃) |
第19回の採択結果は、本記事作成時点(2026年5月12日)では未発表です。採択発表後に応募件数・採択件数・採択率が明らかになる流れです。過去回の傾向としては、第18回(一般型)で採択率は5割前後で推移しており、第19回も同程度のレンジが見込まれます。
4. 第20回以降の公募見通し(推測)
2026年5月時点で、事務局および中小企業庁から第20回の具体的スケジュールは公表されていません。過去の公募サイクルと令和7年度補正予算の規模感から、複数の支援機関・補助金情報サイトでは次のような見立てが示されています。本記事もこのラインに沿った想定とします。
| 区分 | 想定時期(公開情報からの推測) |
|---|---|
| 一般型通常枠 第20回 公募要領公開 | 2026年夏頃 |
| 一般型通常枠 第20回 申請締切 | 2026年秋頃 |
| 一般型通常枠 第20回 採択発表 | 2026年冬頃 |
| 一般型通常枠 第21回 | 2027年初頃 |
| 創業型 第4回 | 2026年下期〜2027年初 |
| 共同・協業型 第3回 | 2026年後半 |
令和8年度(2026年4月〜2027年3月)内には、一般型通常枠で複数回、創業型・共同協業型でも各1〜2回程度の公募が組まれるというのが共通の見立てです。確定情報は中小企業庁および事務局の公式アナウンスを待つ必要があります。
5. 第20回を見据えた準備の方向性
過去の公募回で採択された事業計画書には、次の3点が共通項として現れる傾向があります。
- 販路開拓の方法と顧客層が具体的であること(誰に、何を、どの経路で売るか)
- 投資内容と効果が定量的に紐付いていること(売上見込み・粗利改善・作業時間削減等)
- 事業者自身の経営課題分析が記述されていること(外形的な計画書は審査側から見抜かれやすい)
第19回で不採択となった事業者は、第20回での再申請を検討する余地があります。再申請にあたっては、不採択理由通知(事務局から送付)を読み込み、計画書の弱点を特定したうえで修正する流れが基本となります。
6. 採択された場合の税務上の取扱い
6-1. 収益計上時期
補助金の収益計上時期は、法人税・所得税ともに権利確定基準によります。実務上は交付決定通知を受けた日の属する事業年度の収益として計上します。入金が翌期にずれる場合は、当期に未収入金を立てます。「入金時に計上」ではない点に注意が必要です。
6-2. 圧縮記帳
補助金で取得した固定資産については、法人税法第42条(国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入)により圧縮記帳の適用が可能です。持続化補助金で対象となる固定資産(一定金額以上の設備等)について、課税の繰延を行う選択肢があります。ただし圧縮記帳は将来の減価償却を通じて課税所得に戻ってくるため、トータル税額の削減ではなく時期の調整である点を踏まえて判断します。
6-3. 消費税
補助金の受取は、消費税法基本通達5-2-15により消費税法上の課税対象外取引(不課税)とされます(国税庁タックスアンサーNo.6157)。一方、補助金を原資として購入した設備・サービスに係る仕入税額控除は、通常の課税仕入れとして適用できます。
6-4. 会計処理(仕訳例)
補助金入金時:
(借)普通預金 500,000 /(貸)雑収入(国庫補助金等) 500,000
圧縮記帳を採用する場合(直接減額方式・取得固定資産がある場合):
(借)固定資産圧縮損 500,000 /(貸)工具器具備品等 500,000
7. 留意点
- 交付決定前に発注・契約した経費は補助対象となりません。
- 支払方法は公募要領で指定された方法に限られます。現金払い・手形・相殺払いは認められないケースがあるため、公募要領を確認してください。
- 事業実績報告および効果報告の期限を超過した場合、交付取消となることがあります。
- 同一事業者が同一年度内に複数の補助金を併用する場合、対象経費の重複計上は認められません。
出所:中小企業庁 小規模事業者持続化補助金/商工会議所地区 公募要領/創業型 公式/令和7年度補正予算PR資料/国税庁タックスアンサーNo.6157
本記事は公募要領および事務局公表情報に基づき、一般的な中小企業・小規模事業者を対象として作成しています。最新の公募スケジュール・採択結果・予算執行状況は公式サイトにてご確認ください。第20回以降の公募時期および条件は確定情報ではなく、過去回と公開情報からの推測です。個別の申請可否および補助金活用の可否判断は、事業状況によって異なります。本制度に関するご相談は藤原淳税理士事務所(税理士登録番号 111994)までお問い合わせください。