フェラーリF50と512TRが税務上、美術品等のように価値が減価しない資産であるのか等について争いになりました。
譲渡所得 = 譲渡収入 - 取得費
取得費の計算方法1:時の経過により価値が減少しない資産の取得費:取得価額
取得費の計算方法2:時の経過により価値が減少する資産の取得費:取得価額 - 減価の額
税金が安くなるのは、計算方法1です。
そのため、納税者はフェラーリは美術品というスタンスです。
美術品等であれば、時の経過により価値は減少しないので、
東京地方裁判所令和2年(行ウ)第323号所得税更正処分等取消請求事件
美術品等で下記の通達に該当するようなものは、減価償却費を計上する事ができません。
2-14 「時の経過によりその価値の減少しない資産」は減価償却資産に該当しないこととされているが、次に掲げる美術品等は「時の経過によりその価値の減少しない資産」と取り扱う。(昭55直所3-19、直法6-8、平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平26課個2-20、課審5-26改正)
(1) 古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値又は希少価値を有し、代替性のないもの
(2) (1)以外の美術品等で、取得価額が1点100万円以上であるもの(時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除く。)
(注)
1 時の経過によりその価値が減少することが明らかなものには、例えば、会館のロビーや葬祭場のホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く。)として個人が取得するもののうち、移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなものであり、かつ、他の用途に転用すると仮定した場合にその設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないものが含まれる。
2 取得価額が1点100万円未満であるもの(時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものを除く。)は減価償却資産と取り扱う。
所得税法基本通達2-14
最終的にどのようになったか
「使用または期間の経過による減価する資産」として取得費控除の対象となる。つまり、国側の言い分を認めています。
そのプロセスで、ヴァイオリンのストラディヴァリウスが登場しています。
- ストラディヴァリウスは、時の経過と共に歴代の演奏者の個性を加え、その実用的な機能(楽器としての演奏効果)にも深みが増すものと一般的に評価されているという稀有な性質
- 現に200年以上に渡り一流のヴァイオリンとしてその価値が社旗通念上も確立している
- 「骨とう」と称するのに十分な長期間を経てもなお高い価値を維持している
一方、フェラーリF50については、価格推移がいまだ不確定な面もあるので、骨とうと類似するといえる程度の長期間を経過しても高い価値を維持しているとはいえない。512TRについても、ほぼ同様。
まとめ
仕事用の車としてフェラーリを利用されている方について、調査の際にフェラーリを減価償却できるできないとなった際には、この判決を思い出してください。ただし、この場合の大前提としては、フェラーリを事業用に使用しているという事になります。これはまた別の判決があります。