経営者保証を外したい方は3つだけ覚えて下さい!
- 法人と経営者の区分・分離
- 財務基盤の強化
- 財務状況の正確な把握と透明性確保
当たり前ですね。でも、この当たり前ができていないために経営者保証が必要になっているのが現実です。
銀行とのミーティングで、ダメな会社の財務諸表というものを相談しました。
実際にダメな会社の財務諸表はゴロゴロあります。
そのため、当たり前とも言えない現実があります。
経営者保証には、経営者への規律付けや信用補完として資金調達を円滑にする役割がある一方で、いくつかの問題も指摘されてきました。
私の経験上、事業再生・事業承継の場面において、決断が後手に回る背景には経営者保証による破産があると思います。
このため、ガイドラインが示された事のみで解決はできません。
しかし、企業経営を数値で管理する事は、税理士としてもあるべき姿が明確になってきたと私は思います。
税理士も対応できる人とできない人に分かれると思います。
外せる会社になるために簡単な方法は下記リンクをご覧ください。
結局、会社の信用力を高めるという事になります。
経営者保証に関するガイドラインの概要
経営者保証に関するガイドラインは、
- 経営者保証への依存
経営者が個人保証に依存することで、借り手と貸し手双方が必要な機能(情報開示や事業分析など)を十分に発揮しようとする意欲が阻害されます。 - 融資慣行と信頼関係
個人保証の融資慣行が、説明不足や過剰な保証債務要求などを通じて、借り手と貸し手の信頼関係構築を妨げています。 - 経営者の交代や保証履行の課題
経営者の交代、不明確な履行基準、保証債務の残存などの問題が、中小企業の成長、事業再生、事業承継、新たな事業の開始に対する意欲を阻害しています。
課題の解決策を具体化したガイドラインの策定が行われています。
このガイドラインは、中小企業金融における「経営者保証を外す制度」に関する
基本的なルールと方向性を示しています。
主な目的は、経営者保証の課題を解消し、中小企業の成長と金融実務の円滑化をサポートすることです。
「中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルール」と位置付けられており、法的な拘束力はありませんが、関係者が自発的に尊重し、遵守することが期待されています。経営者保証を解除するかどうかの最終的な判断は、金融機関にゆだねられます。
- 対象者
- 主たる債務者:中小企業の経営者など、金融債務の責任者。
- 保証人:保証契約を結ぶことになる可能性がある人たち。
- 対象債権者:金融機関などで、経営者に対して保証債権を有している、または将来持つ可能性がある組織。
- 目的
- 主たる債務者、保証人、対象債権者の継続的な信頼関係を構築し、強化すること。
- 経営者保証の課題を解消し、中小企業の意欲的な活動を支援すること。
- 中小企業の成長や早期再生、事業承継をサポートし、活力を引き出すことで日本経済の活性化に貢献すること。
- 具体的な対応策
- 合理性のある保証契約の在り方を示し、整理局面での保証債務の扱いを公正かつ迅速にするためのガイドラインを提供する。
このガイドラインを通じて、中小企業のさまざまな成長段階での取り組みが強化され、
金融実務の円滑化が進むことで、中小企業の活力が高まることが期待されています。
このガイドラインは、中小企業の経営者にとって重要な経営者保証制度に関する基本的なルールを示しています。
特に、以下の4つのポイントがあります。
- 合理的な保証契約と保証債務の整理の基準
このガイドラインは、経営者保証における合理的な契約の在り方と、債務整理の手続きを公正で迅速に進めるための基準を提供しています。中立的な専門家や中小企業、金融機関の関係者が協力し、法的な拘束力はないものの、自主的に尊重されることが期待されています。 - 保証契約の誠実な対応
経営者保証に依存しない融資が進められることが期待されていますが、必要な場合には、経営者保証を締結することも可能です。その際、主たる債務者(中小企業)、保証人、対象債権者(金融機関など)は、このガイドラインに従って誠実に協力することが求められます。 - 情報の守秘義務
保証債務の整理プロセスで共有される情報については、債務者、保証人、対象債権者の間で守秘義務が適用され、プライバシーが守られます。 - 公平性と透明性
ガイドラインに基づいた保証債務の整理は、公平性と透明性を重視しながら進められます。全員にとってわかりやすく、公正に手続きが進行することが意図されています。
このガイドラインに基づくことで、中小企業が経営者保証を必要とする場合も、契約や整理の手続きがスムーズで信頼性を持って行われるようになります。
ガイドラインの対象となる保証契約
このガイドラインは、中小企業の経営者が保証契約を結ぶ際の基本的な指針として役立ちます。
中小企業に向けた要点は次のとおりです。
- 対象となる保証契約
ガイドラインは、主たる債務者が中小企業であり、保証人がその中小企業の経営者である保証契約に適用されます。 - 特別な事情で適用されるケース
以下の特別な状況においても、ガイドラインが適用されます。- 経営者の配偶者や営業許可名義人が実質的な経営権を持ち、保証人となる場合。
- 経営者の健康上の問題で事業を継承する予定者が保証人となる場合。
- 誠実な対応と情報開示
中小企業の経営者と保証人は、誠実な対応を心がけ、対象債権者に対して財産状況や負債状況などの情報を適切に開示する必要があります。 - 反社会的勢力の排除
中小企業と保証人は反社会的勢力ではなく、その可能性もないことが求められます。
このガイドラインを遵守することで、健全で透明性のある経営者保証契約が期待されます。
経営者が対応すべき最重要事項
- 主たる債務者および保証人の対応
経営者保証なしで資金を調達する場合、以下の点が必要です。この3つだけ覚えて下さい!- 法人と経営者の区分・分離
法人と経営者の資産や経理などを分離し、資金のやりとりが適切な範囲を超えないようにする体制を整えます。この運用状況を外部の専門家(会計士、税理士など)に検証してもらい、その結果を金融機関に開示することが望ましいです。 - 財務基盤の強化
経営者保証なしで円滑に資金を調達できるように、財務状況の改善を通じて信用力を高める必要があります。 - 財務状況の正確な把握と透明性確保
資産・負債の状況や事業計画、業績見通しなどについて金融機関から求められた場合、信頼性の高い情報を正確に開示し、透明性を確保します。外部専門家による検証結果とともに情報を開示することが望まれます。計画や見通しの変更が生じた場合も、自主的に報告し、適時適切に情報を共有します。
- 法人と経営者の区分・分離
このような対応を取ることで、主たる債務者や保証人は経営者保証に依存しない健全な資金調達を実現し、
金融機関との信頼関係を強化することが期待されます。
2.債権者側の対応
以下を踏まえて金融機関は、中小企業の経営状況や資金使途などを総合的に判断し、
経営者保証を求めない融資手法の活用を検討します。
- 代替的な融資メニューの拡充
金融機関は、経営者保証の代替手段として、金利の一定の上乗せなどの融資手法を導入します。 - 経営者保証を求めない検討条件
中小企業(主たる債務者)が資金調達を希望し、次の要件を将来的に満たす見込みがある場合、金融機関は経営者保証を求めない融資手法の活用を検討します。- 資産・経理の分離
法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されている。 - 資金の適切なやりとり
法人と経営者間の資金のやりとりが社会通念上適切な範囲内で行われている。 - 法人のみで返済可能
法人のみの資産・収益で借入返済が可能であると判断できる。 - 適時適切な情報提供
法人が適時適切に財務情報を開示している。 - 物的担保の提供
経営者などから十分な物的担保が提供されている。
- 資産・経理の分離
つまり、経営者保証を外せるにもかかわらず、経営者保証がある会社(沢山ある)については、早急な見直しと銀行がどのような対応になるかの見極めが必要です。
経営者保証契約時における対象債権者の対応
- 保証契約の必要性に関する説明
金融機関(対象債権者)は、経営者保証契約を結ぶ際に以下の点を、主たる債務者(中小企業)と保証人に対して丁寧に説明することが求められます。- 保証契約の必要性:なぜ保証契約が必要かを明確に説明します。
- 履行請求の範囲:原則として、保証履行時の請求は全額ではなく、保証人の資産状況を考慮しながら請求範囲が決定されます。
- 契約変更の可能性:経営者保証が不要になった場合、保証契約の見直しや解除が可能であることを伝えます。
- 適切な保証金額の設定
保証契約を結ぶ際には、保証金額が中小企業の成長や取り組みを阻害しないようにする必要があります。融資額と同額の保証金額にするのではなく、次のような要素を考慮して設定されます。- 保証人の資産と収入状況
- 融資額および主たる債務者の信用状況
- 物的担保の設定状況
- 主たる債務者および保証人の情報開示姿勢
これらの要素を総合的に判断して、適切な保証金額を設定します。
既存の保証契約の見直し
既存の保証契約の適切な見直し
- 保証契約の見直しに関する対応
- 主たる債務者と保証人の対応
主たる債務者および保証人は、既存の保証契約を解除または見直しを対象債権者に申し入れる前に、将来的に安定した経営状況を維持することに努めます。 - 対象債権者の対応
主たる債務者と保証人から保証契約の見直しや解除の申し入れがあった場合、金融機関(対象債権者)は、真摯かつ柔軟に検討し、経営者保証の必要性や適切な保証金額について丁寧に説明します。
- 主たる債務者と保証人の対応
- 事業承継時の対応
- 主たる債務者と後継者の対応
- 情報開示:主たる債務者と後継者は、金融機関の情報開示要請に適切に対応し、経営方針や事業計画の変更を誠実に説明します。
- 資金調達:後継者が個人保証なしで資金調達を希望する場合、経営状況の改善が求められます。
- 対象債権者の対応
- 保証契約の締結:金融機関は前経営者の保証債務をそのまま後継者に引き継がせず、新たに必要性を検討し、保証契約が必要な場合には適切な金額を設定します。
- 保証契約の解除:前経営者が保証契約の解除を求めた場合、その経営権や支配権の有無、法人の返済能力などを考慮しながら適切に判断します。
- 主たる債務者と後継者の対応
この対応により、既存の保証契約の見直しと事業承継時の保証契約が適切に行われます。
まとめ
長々と記載しましたが、結局のところ、3点に集約されます。
経営者保証を外したい方は3つだけ覚えて下さい!
- 法人と経営者の区分・分離
- 財務基盤の強化
- 財務状況の正確な把握と透明性確保