法人が支出する食事代は、仮に食事の内容が完全に同じであったとしても、そのシチュエーションで取り扱いが変わります。
食事代で使われる勘定科目の例です。
- 役員報酬
- 給与,役員報酬
- 福利厚生費
- 会議費
- 交際費
背景によって微妙に回答が変わるため、ざっくりと概要を理解して頂ければOKです。
役員報酬となる食事代
役員の個人的な食事代を負担した場合や、
役員に食事のためのお金が渡っているものの、その内容が判然としないものや
精算がない食事代は役員報酬となります。
これは非常に分かりやすい内容であると思います。
個人的な支出を会社が肩代わりしていますので、それは役員報酬ですよ という事です。
念のため、根拠を記載しておきます。
(9) 役員等に対して機密費、接待費、交際費、旅費等の名義で支給したもののうち、その法人の業務のために使用したことが明らかでないもの
(10) 役員等のために個人的費用を負担した場合におけるその費用の額に相当する金額
法基通9-2-9~11
最近、どうもこの辺りを拡大解釈する風潮が世の中にあります。
平たく言うと、ちょっと事業に関係していれば「交際費ですよ」という考え方です。
仮に個人として事業の香りがする付き合いであったとしても、
法人として事業に関係がなければ、それは個人の支出です。
この辺りを無視して、拡大解釈がされていそうですので、ご注意ください。
給与(役員報酬)となる食事代
役員や従業員に対して、食事を提供した場合、その食事代は給与として課税されるのが原則です。
ただし、福利厚生費となる役員や従業員に対して提供する食事は非課税とななります。
福利厚生費として、食事代を課税させない方法
ランチの支給
会社が役員や従業員に支給する食事は、次の要件をすべて満たしていれば、給与として課税されません。
(1)役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担している。
(2)会社負担額が1か月当たり3,500円(消費税および地方消費税の額を除く。)以下であること。
会社負担額 =(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)
(2)の「3,500円」以下であるかどうかの判定は、
1 弁当などを購入して支給している場合には、業者に支払う購入金額
2 社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額
課税される金額
上記の要件を満たしていなければ、会社負担額が給与として課税されます。
深夜勤務者に夜食の支給ができない場合
現金で食事代の補助をする場合には、補助をする全額が給与として課税されます。
ただし、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(消費税および地方消費税の額を除きます。)以下の金額を支給する場合を除きます。
現実としては、結構、金額難しいですよね?
食事の支給 残業
残業または宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。
ただし、現金で食事代の補助をする場合には、補助をする全額が給与として課税されます。
あれ?
私の会社は、残業食そのものは提供されていないな と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
一定の金額の範囲内で実費精算するような場合には、食事の提供と同じと考えて非課税となります。
ポイントは実費精算です。
もし、1200円を渡し、その範囲でやっておいて
という感じであれば、給与課税されます。
リモートワークの残業代
リモートワークでも変わりません。しかし、時間管理がきちんとできていないと対外的(税務署)に信用は得られません。
そのため、勤怠管理をお願い致します。(ご相談お受けいたします。)
会議費 飲食を伴う場合
会議費の大前提
ちょっと硬い話ですが、法人税において交際費が一定金額を超えると例え支出があったとしても、その支出は経費として認められません。
つまり、課税されます。
一方で、会議費については、交際費の範囲から除かれています。
つまり、会議費であれば、いくら使っても経費となります。
これは勘定科目が「会議費」なのか、「交際費」なのかという質の低い話ではありません。
ここでいう会議費とは、以下をいいます。
会議に際して社内又は通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用は、原則として措置法令第37条の5第2項第2号に規定する「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」に該当するものとする。
(注)1 会議には、来客との商談、打合せ等が含まれる。
租税特別措置法関係通達 61の4(1)-21
意図をとらえて頂く便宜上、ちょっと分解します。
① 社内
又は
② 通常会議を行う場所
において
③ 通常供与される昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用
要は、「普通に考えて会議と思われる範囲の会議費」という事になります。
例えば、キャバクラで真剣に会議をしていたとしても、
それは会議費とは言えない と私は考えています。
仮にその光景を録画してあったとしても、最初から最後まで1件1件全部確認する事は不可能です。
ランチビール付きの会議
程度の問題ですが、「飲み放題付」と「ランチビール」が絶対的に違うことは分かりますよね?
税金の話って、文字ベースの話ではないのです。
ビールが小さいコップ1杯ついている松花堂弁当ってありますよね?
そんな感じであれば、大丈夫と考えています。
交際費になったとしても会議費になる場合もあります
こちらについては、交際費で取り扱います。
変な日本語ですが、会議費なのか交際費なのか振り分けて、交際費になったとします。
それでも5000円基準(10,000円基準)などにより、交際費だけれども、会議費になる場合もあります。
交際費 飲食を伴う場合
そもそも交際費とはなにか?
交際費の定義は法律にあります。
①交際費, 接待費, 機密費その他の費用で,
②法人が, その得意先, 仕入先その他事業に関係のある者等に対する
③接待, 供応, 慰安, 贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの
④(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)
というのが交際費となります。
「?」という感じかもしれませんが、大丈夫です。
交際費, 接待費, 機密費その他の費用で, 法人が, その得意先, 仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待, 供応, 慰安, 贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいい, 第1項に規定する接待飲食費とは, 同項の交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第 2条第15号に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。 第2号において「飲食費」という。)であって, その旨につき財務省令で定めるところにより明らかにされているものをいう。
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会, 演芸会, 旅行等のために通常要する費用
二 飲食費であって, その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
三 前2号に掲げる費用のほか政令で定める費用
措置法第61条の4 ⑥
交際費の範囲は広い
法律にはタイトルがついています。この条文では「交際費等の損金不算入」というタイトルがついています。
「等」がついています。
そのため、範囲は交際費だけに限りません。
だから、①交際費, 接待費, 機密費その他の費用で, となっています。
ちょっと広いですよと思って下さい。
得意先, 仕入先その他事業に関係のある者等
これも「等」がついています。
この「等」は社外の人間だけがターゲットじゃありませんよという事を指しています。
つまり、社内や株主に対して、接待, 供応, 慰安, 贈答などなど をした場合も
対象となります。
交際費等から外れる支出
条文では、交際費から外れる支出も記載してあります。
(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会, 演芸会, 旅行等のために通常要する費用
二 飲食費であって, その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
三 前2号に掲げる費用のほか政令で定める費用
措置法第61条の4 ⑥ から抜粋
専ら従業員の慰安のために行われる運動会, 演芸会, 旅行等のために通常要する費用
ひとまず以下の判決をさらっとご覧ください。
本件支出は、いずれも従業員の全員を参加対象とせず、
一部の従業員のみを参加対象(控訴人の主張によれば参加人数は最大で20名、最小で2名、大部分は7名以内の少人数である。)
として社外の居酒屋、中華料理屋、焼肉店、寿司屋、割烹店等で行われた懇親会等に係るものであり、
回数も平成元年3月から同年12月までの間に53回という多数に及んでいるものであり、
右事実にかんがみると、
1回当たりの金額がそれほど多額ではなく、
1人当たりの費用としては必ずしも多額といえないことを考慮に入れても、
法人において負担するのを相当とするような
従業員全体の福利厚生のための支出とみることは到底できない。
大阪高裁平成5年(行コ)第2号法人税更正処分一部取消請求控訴事件(棄却)(控訴人 上告)
まず、会社全体で一か所で開催する必要はありません。トヨタ自動車が一か所に集まって忘年会するなら見てみたい気はします。
ただ、一定の基準で公平に一律に従業員が恩恵を受ける事が福利厚生費の前提です。
一部の人しか恩恵を受けられないような飲み会は、交際費等に該当します。
また、旧5000円基準(現10,000円基準)は、社内交際費について適用がありません。
業務に無関係な場合には、給与課税
ここで思い出しておいていただきたいのは、業務上の理由なく、友達感覚で飲食をしている場合には、
給与課税される場合がある点です。
飲食費であって, その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
これは、実際、会議費なのか それとも 交際費なのか はっきりさせにくいものがあると思います。
そんなわけで、一定の金額に達していなければ、会議費としておきましょう というルールがあります。
社内での交際については対象外となります。
1人当たり1万円以下の社外の人との飲食費は交際費等の範囲から除かれます
条件
帳簿書類に次に掲げる事項が記載されているもの
- その飲食費に係る飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」という。)のあつた年月日
- その飲食費に係る飲食等に参加した得意先,仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
- その飲食費の額並びにその飲食店,料理店等の名称及びその所在地(ただし,店舗を有しないことその他の理由によりその名称又は所在地が明らかでないときは,領収書等に記載された支払先の氏名又は名称及び住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地)
- その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項
送迎代
交際費等に該当します。
得意先等が1人でも参加していればよいのか?
こういう人いますよね?
当たり前ですが、形式的に外部の人をいれている場合には、社内交際費です。
ゴルフの飲食
ゴルフの中で飲食している場合、それはゴルフがメインです。
そのため、それはゴルフとして取り扱います。
ゴルフ後に別個で食事会をするのであれば、それは食事会です。
2次会、3次会 終わらない飲み会
2次会、3次会と終わらない接待ありますよね?
この場合、それぞれが一人当たり5000円以下(改正:1万円以下)で判断すれば構いません。
判定の際の消費税
会社の経理方式が「税込方式」か「税抜方式」かによりますので、経理の方にご確認ください。
まとめ
食事代の税務について、まとめさせて頂きました。
具体的な事例など書いていこうと思っていますので、ブックマーク・メルマガ登録をお願い致します!