非上場株が財産の多くを占めている企業オーナーは多くいらっしゃいます。

遺留分対策をしない状態で、相続が発生すると財産の多くの部分を占める非上場株が事業承継者に相続されるため、

他の相続人から不平等であるとして請求を受ける可能性があります。

これが遺留分侵害額請求というものです。

今回は対策の一つとして生命保険金の活用を記載させて頂きます。

なお、持株会社スキームを利用する場合には、課税関係が少し異なります。

生命保険金を利用した遺留分対策の内容

  1. 遺言で後継者に株式を取得させる。
  2. 現経営者である株主が死亡した際に死亡保険金が法人に支払われる。
  3. 法人はその保険金を使って、法人は自己株式の一部を後継者から取得する。(後継者は一部現金化)
  4. 後継者は、その現金を遺留分対策と納税資金に充てる。

保険の契約形態

契約者被保険者保険金受取人
法人現経営者(被相続人)法人

全体の大まかな流れ

  1. 税理士に相談し、保険必要額のシミュレーションおよび非上場株式について遺言書の作成など準備開始
  2. 保険契約の締結(保険料の支払い)

    損金にどれぐらい入るかは、保険の内容によります。

  3. 株主の相続開始

    保険契約直後に見えますが、そんな事はないですね。

  4. 保険金の受取(法人)

    法人税課税されます。

  5. 遺言に基づき後継者が非上場株式を取得

    ここで法人は、保険金を原資に、後継者から株式の一部を買い取ります。買取後の持ち株比率大切ですね。そして、この譲渡代金を使って、遺留分対策として代償分割資金や納税資金に充当します。遺産分割協議書に代償分割の記載が必要です。

  6. 税理士は株価算定を行う・財源規制の対策

    相続前から継続メンテナンスが必要です。

  7. 株主総会の決議

    できれば承継者の持ち株比率は自己株式取得後も90%以上にしておきたい所です。ここも株主構成次第で生前からのプランニングが必要です。

  8. 株式譲渡契約書の締結
  9. 「相続財産に係る非上場株式をその発行会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例に関する届出書」を会社に提出

    ※会社は翌年1/31までに税務署に同届出書を提出

  10. 自己株式取得
  11. 所得税の確定申告

    取得費加算の書類を添付

まとめ

道のりが長い準備で、かつ、資金繰りや贈与プラン等々諸々のシミュレーションが必要になります。

先が長い話なので、現在の顧問税理士の方がご高齢であれば、確認すべき事項が多いかもしれません。

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