本ブログは社長が銀行と数字で会話できるようにする事を目指します。
この時が来ました。ややこしい費用。
ややこしい費用は大きく分けると2種類あります。
最初は資産なのに、時間が経つと費用になるのです。
今回は2つあるうちの1つめです。
前払費用
極端な例えです。例なので、深い事は考慮しません。
100年分の家賃を前払いする契約があるとします。
年間120万円、100年で1.2億円 預金で支払ったとします。
(借方)地代家賃 1.2億円/(貸方)預金 1.2億円
これで良いんじゃない?と思う方。
正解のような不正解なのです。
損益計算書の目的を覚えていますか?
事業年度の経営成績を表す事が目標なのです。
いきなり100年分の地代家賃が計上されてしまったら、
今期の経営成績がいったいどのような感じか不明になります。
そこで、いったん前払費用という科目に振り替えます。
前払費用は「費用」と書いてあるけれど、「資産」です。
(借方)前払費用 1.2億円/(貸方)預金 1.2億円
覚え方ですが、先に払っているという事は、将来使う権利があるはずですよね。
つまり将来使う権利には財産的価値があるはずです。だから資産です。
でも、年月が経過するにつれて、その価値はなくなるはずです。
契約の100年が経過したら、その価値はゼロになっているはずです。
そのため、時が経過する都度、費用にする事で、ゼロに近づけていきます。
契約初年度、事業年度12ヶ月フルに使ったとして、
(借方)地代家賃 120万円/(貸方)前払費用 120万円
となります。
費用が1年分計上されているという事は、120年分の地代家賃が計上された場合と比較すると損益計算書はきれいになりました。
一方で資産である前払費用の期末残高は、
当初 120年分:(借方)前払費用 1.2億円/(貸方)預金 1.2億円
費用化 1年分:(借方)地代家賃 120万円/(貸方)前払費用 120万円
当初計上 1.2億円 - 120万円 =1億1880万円になります。
1年経過したら、1年分の利用料が減少しているため分かりやすいですね。
この費用化を月末や決算時に行います。
極端な例で100年分としましたが、15日分でも1ヶ月分でも先払いの費用は前払費用で資産です。
※雑に言うと、税務上は1年以内分の前払いなら費用計上できますから、前払費用になっていない事もあります。
まとめ
前払費用は資産であり、時間の経過で費用に計上するという事は理解できたと思います。
でも、実際に預金が減少します。前払費用は資産であっても、換金はできない可能性があります。