利益が出た期の翌年に、資金繰りが急に苦しくなる。よくある話です。
理由ははっきりしています。利益が出た時期と、それに対応する支払いの時期がずれているからです。稼いだのは去年で、払うのは今年、という順番になります。
この記事は「利益は出ているのに、お金が残らない」で挙げた5つの理由のうち、5つ目を詳しく見るものです。
1. 税金は、決算が終わってから来る
法人税などの確定申告と納付は、事業年度が終わった日の翌日から2か月以内です。3月決算の会社なら、5月末が期限になります。
消費税も同じで、課税期間が終わった日の翌日から2か月以内に納めます。
つまり決算日の時点では、まだ払っていません。決算書の利益を見て「今期は残った」と感じたその2か月後に、まとまった支払いが来ます。
自社で確かめるなら
直近の決算で、法人税等と消費税を合わせていくら納めたかを見てください。その金額が、決算日から2か月後に手元から出ていきます。
2. 受け取った消費税は、自社の儲けではない
売上と一緒に受け取った消費税は、いずれ納めるお金です。入金があった時点では預金に入っているので、感覚としては手元にあるお金と区別がつきません。
売上が伸びた期は、受け取る消費税も増えます。売上が伸びるほど、後から出ていく金額も大きくなるということです。
自社で確かめるなら
決算書の未払消費税等の残高を見てください。まだ払っていない金額です。前の期より増えていれば、次の納付はその分だけ重くなります。
3. 社会保険料は、翌月末に出ていく
健康保険と厚生年金の保険料は、納付対象月の翌月末日が納付期限です。4月分は5月末、という順番になります。
人を採用したり、昇給したりすると、その影響は給与の支払いと同時ではなく、少し遅れて資金繰りに出てきます。賞与にも保険料がかかります。
自社で確かめるなら
毎月の給与総額に対して、会社が負担している保険料がいくらかを見てください。人を1人増やすときは、給与だけでなくこの金額も一緒に増えます。
4. 期の途中にも納付がある
法人税には中間申告があり、事業年度が始まってから6か月を経過した日から2か月以内に申告と納付をします。消費税にも中間申告の仕組みがあります。
いずれも前の期の実績をもとに計算されるため、前期が好調で今期が苦しい会社ほど、負担が重く感じられることになります。今期の状況ではなく、去年の数字に基づいて請求が来るからです。
5. だから、資金繰りの予定表に納税を書く
ここまでの支払いには共通点があります。いつ、いくら出ていくかが、事前に分かるということです。
売上の入金予定は読みにくくても、納税と社会保険は先に置いておけます。逆に言えば、資金繰りの予定表にこれらが入っていなければ、その表は実際より楽観的な数字になっています。
自社で確かめるなら
手元の資金繰り表に、次の3つが行として入っているかを見てください。①法人税等・消費税の納付月 ②社会保険料(毎月) ③中間納付の月。入っていなければ、そこから作り直す価値があります。
資金繰り表そのものの作り方は、資金繰り表を使い数字で話せる社長になりましょうで扱っています。日本政策金融公庫の様式も案内しているので、まだ作っていなければそこから始めるのが早いです。
制度の根拠
| 項目 | 期限 | 出典 |
|---|---|---|
| 法人税(確定申告) | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 | 国税庁「法人税、地方法人税及び防衛特別法人税の申告」 |
| 法人税(中間申告) | 事業年度開始の日以後6月を経過した日から2月以内 | 同上 |
| 消費税(確定・納付) | 課税期間終了日の翌日から2月以内 | 国税庁「主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日」 |
| 健康保険・厚生年金保険料 | 納付対象月の翌月末日 | 日本年金機構「納付期限」 |
いずれも期限が土曜日・日曜日・祝日等にあたる場合は、その翌日(社会保険料は翌日以降の最初の営業日)が期限になります。申告期限の延長など、個別の事情によって扱いが変わる場合があります。
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この記事は「社長が自社の数字を読む」の一部です
▲ 全体像から読む:利益は出ているのに、お金が残らない
